来年度新入生からいよいよ本格的に浦安市において実施される「学校選択制」(以下、選択制)について、私なりに6年前から三度にわたり疑問を投げ掛けてきましたが、反応はそのほとんどが選択制に賛成の意見ばかりでした。つまり私の意見(現状における選択制は疑問)には反対だということです。

 選択制を歓迎するみなさんの意見については、「続・学校選択制を問う」を参考にしてください。そこにも書いておきましたが、保守的なスタンスに立つ人も、革新的なスタンスに立つ人もこの選択制に賛成ですので、この動きは全国的に一気に進むものと思われます。

 ただし、どれだけの人がこのこの制度を利用しようとするのかは、今月の(2003年10月の)学校選択のための学校公開日まで待って、その様子をみなければなりません。

 さて、一方ですごく気になっているのが、この問題に対する現場の反応がまったくないということです。賛成もしないし、反対もしない……。たまに反応があるところでは、今は目の前のことで精一杯で、まだこの制度が導入されそうにない自分の地域に勤務しているので、どうしても無関心になってしまう、というものでした。

 今思えば、浦安市で全国に先駆けて5,6年も前に実施された「少人数教育」の時も他市・他県の教師は同様の反応でした。中には当時「それは浦安市の特殊な事情でしょ」とまで言う者もいました。そしていざ自分のところに導入された時に、その問題の大きさにあわててしまうといった感じです。何度こういったことが繰り返されるのでしょうか?ましてや今度の問題は、もっと大きな学校改革の問題なのに……。

 世論は賛成の方向で、現場では無反応…、組合や民間教育団体でもこの問題に関しては具体的な見解を述べることができていない現状では、どうやら腹をくくるしかないようですね。つまり、この制度によって切り捨てられていく子どもや公立学校の側の立場に最後まで立とうと腹をくくりました。(この競争に私立小学校が参入してくることに意外に気づいていない。すでに進学塾が小学校を作り始めている時代です)

 最後に一つ注意してもらいたいのが、この学校選択制と「指導力不足教員研修制度問題」(注1)は、セットになっているということです。つまり、学校選択制というのは、途中でその学校(クラス・担任)が気に入らなければ、他の学校に移れるということを含んでいるのです。そしてその結果によって、教師は指導力不足と評価されて、どんどん研修にまわされるでしょう。

 現在の、学校と保護者のすれちがい状況の中で、こういったことはあちこちに起きるでしょう。そこには「両者の話しあいによってそのすれれちがいを乗り越える」といった過程が無視されます。つまり、保護者にとっては、そんな面倒な話し合いなど必要なくなるのです。そのことをどうか現場のみななさんは、頭に入れておいてほしいと思っています。

(注1):「指導力不足教員研修制度」(自治体によって名称は違っているようです)とは、指導力が不足していると評価された教員が、現場を離れて数年間の研修にまわされる制度です。いっけん当たり前の制度のように聞こえますし、選択制同様世論の支持がある制度ですが、子どもの側に立とうとする教師が不当な理由でその研修にまわされ、退職に追い込まれているという報告を、最近たくさん聞くようになりました。