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1.ちょっと待って!「少人数授業」 文部省の発表によりますと、公立小学校と中学校の国語、算数などの主要教科の授業を、通常の学級とは別に20人程度の少人数グループで行う新制度が、2001年度から導入される見通しになったそうです。 少人数授業の教科は、英語、算数(数学)、国語、理科などの主要教科の中から、各都道府県が3教科を選んで、たとえば2学級の児童・生徒を3グループに分けたりして、20人程度の編成で授業を行うことが一般的になるようです。 また、グループ分けについては、子供の適性や興味、成績などに応じて行うようになるということです。 私はこのホームページで、本市の市長が1998年11月に「25人学級」を公約にして当選した当時から、今回の動きをある程度不安を持って予想していました。 ※しおちゃんマンの関連コラム そこで、今回発表された「少人数授業」についても、私の思いをまとめてみようと思います。 2.3つの言い方 「少人数」で指導すれば、子ども一人ひとりの指導が丁寧になされるのではないかという感じがしますね。 しかし、ここで注意しなければならないことは、ここにきて3種類の「少人数」という言葉が出てきているということです。そしてその一つひとつは、全然意味が違うということを確認しておきたいと思います。 1)少人数学級 2)少人数教育 ただし、学校によっては「少人数教育」の制度を利用して、後述の「少人数授業」に試行的に取り組み始めたところもある。 3)少人数授業 少人数授業の教科は、英語、算数(数学)、国語、理科などの主要教科の中から、各都道府県が3教科を選んで、たとえば2学級の児童・生徒を3グループに分けたりして、20人程度の編成で授業を行う。 3.グループ編成の不安 少人数授業は、教科によって、たとえば3クラスを4クラスにわけるわけですがそのグループ分けについては、子供の適性や興味、成績などに応じて行うということのようです。 ここで、ちょっと待てよ…、と思ってしまいます、 子供の適性や興味によって…ということですが、「適性」や「興味」というのは、誰がどのような基準で判断するのかがわかりません。 もしも子供自身が決めるのだとしても、学習に対する「興味」というのは、必ずしもその学習内容に限定されるわけではないということもぜひ考えてほしいと思っています。 たとえば、子供の世界というのは、A君と国語をやると面白いけど、B君とやるとそうでもないという世界があるんです。つまり、子供の「興味」というのは、学習内容だけでなく一緒に学ぶ仲間との関わりが大きいということです。 とすると、大人の意図とは裏腹に、子供は仲のいい友達と一緒になろうとする傾向があり、そのことは必ずしも否定的にとらえてはいけないことだとも思います。 成績に応じて分ける…ということについてはどうでしょうか。 もし、文部省のように進めるとしたら、年間で算数の一つの単元のみ(たとえば分数だけ)を選んで、その時だけ学級を解体してグループ別にするということになるでしょう。それだけでも大変なのに、すべての単元ごとにそのたびにグループを編成するのは、到底無理な話です。 4.「学級」を軽視せずに グループ分けの問題の他にも、学級そのものの軽視の心配があります。 学級というのは、学習をするだけでなく、自分とは違った、いろいろな仲間と一緒に生活することの意味があり、それは子供達の成長にとってとても大切なことだと考えています。 さらには、学級というのは、そもそも生活や授業のためだけではなく、子どもたちや父母の要求が集まるところであり、地域や保護者の学校参加への窓口の役割も果たしているわけです。 こういった意味をもった「学級」が少人数授業が広がる中で軽視されてしまう心配が個人的にはあります。 このように考えていくと、少人数授業の問題は、現場でもっともっと論議していかなければならないことだと思います。 そして、安易に少人数授業を進めるのではなく、30人学級の早期実現と、教科内容の精選こそが今求められていることではないでしょうか。 この件についての、2年ごしのコラムは、今後もまだまだ続きそうです。 |