〜学校HPの役割を考える〜

 

はじめに<Top>

 

誰に何を公開するの?

 

なぜ公開するの?

 

意欲的に作るためには

 

成果と課題(まとめ)

 


ザ・教室Topへ

エッセイ一覧へ

 

 学校のホームページというのは、誰に見てもらうために作るのでしょうか?これは「なんのために作るのか」を考える上でのはじめの一歩だと思いのですが、意外に語られていないのではないでしょうかそこでまず学校のホームページは「誰が見ているのか」について考えてみたいと思います。

 学校のホームページを見ている層は、大きくわけて以下の二つを考えることが出来ます。一つは、「学校内(関係者含む)の人」。今一つは、「学校外の人」です。

 前任校のホームページでアクセスを解析した見たところ、学校のホームページに訪れるほとんどの人はその学校の保護者(子どもや卒業生含む)でした。これは「自分の学校の様子を知りたい」といった要求があるからだと考えられます。

 それでは学校外の人は、なんのためにその学校のホームページに訪れるのでしょうか?

 訪れた人のメールから推察すると一番訪れるのは他校の教師。つまり自分の学校のホームページ作りの参考にするためにくることが多かったです。一方、教師以外では、自分の子どもが次年度入学する予定であったり、転入する予定の保護者が多いようです。しかし学校外からのアクセスはいずれもわずかな数です。

 このように考えてみると学校のホームページは、当面はその学校の保護者を対象に作ればよいことがわかってきました。

 それではその保護者はどのような情報をのぞんでいるのでしょうか?そのことを確認するために、今年度実験的にクラスのホームページを作ってみました。

しおちゃんマンのクラスのホームページ(サンプル)

 このホームページのスタンスは、以下の通りです。

(1)クラス内に情報格差が出ないように学年便り、日刊通信以上の情報は掲載しない。

(2)このページを開くためには、IDとパスワードが必要で、そのIDとパスワードは、M小学校4年1組にしか公開しない。

(3)写真は集合写真やスナップ写真に限り、子どもの個人が特定できるような写真は掲載しない。ただし子どもたちの生き生きとした表情を大切にしたいので、意図的に顔をぼかしたりのマスクはしない。また、写真においては子どもの名前は姓のみであっても絶対に掲載しない。

(4)子どもの作品を掲載するときは、年度当初に本人及び、保護者の了解を得、著作権は子ども本人にあることを明記する。子どもの作品を掲載する時の子どもの名前は姓のみの表記、またはイニシャルにし、どちらの表記にするかは、年度当初に保護者の了解を得る。

 そしてこのホームページについて2学期末に以下のようなアンケートをとってみました。

■ アンケート ■
Q1 4年1組のホームページ(以下、HP)を見ていますか?
 よく見ている…………… 4名
 時々見ている……………20名
 まったく見ていない…… 1名
Q2 1の質問で「まったく見ていない」と答えられた方は、その理由を選択してください。(複数可)
 インターネット環境がない………………………1名
 忙しくて、見る暇が無い…………………………※
 興味がない、または必要ないと考えている。…※
Q3 HPはどこで見ていますか?(複数回答)
 家庭……24名
 仕事場… 0名
 その他…祖母の家
Q4 今のHPは、クラス内しか見ることが出来ません。そのことについて
 今のように、クラス内だけが見られる形がいい。… 8名
 校内であれば、他学年にも公開してもいい。………16名
 校外にも公開したほうがいい。……………………… 0名
Q5 ホームページがあると助かることはなんですか?(複数可)
 学校の様子がよくわかる。
   …………20名
 家での子どもとの会話が増えた。
   ………… 5名
 子どもがHPの写真に載ると喜び、学校生活のはげみになる。
   …………17名
Q6 HPであった方がいいと思うコンテンツをチェックしてください。(複数回答)
 クラスの行事や取り組み………16名
 授業の様子………………………16名
 子どもの作品(絵画や作文)……12名
 連絡網…………………………… 2名
 月予定…………………………… 9名
 年間予定………………………… 6名
 掲示板…………………………… 7名
 その他
  部活動やクラブ活動
  休み時間、どういったことをしているか。
  今後の行事予定。
  先生のリレー式のコラムと、校長先生のコラム。保健の先生のコラム。

 さて、このアンケートでわかったことは、

(1)インターネット環境さえあれば、必ずホームページは見ていること。

(2)クラスの行事や取り組み、授業の様子(子どもたちの作品含む)を特に見たいと思っていること。

(3)子どもたちは自分のこと(写真や作品)が掲載されると喜び、学校生活の励みになっていること。

 そして、注目すべきことは、全員の保護者がこれらの情報は学校外には公開する必要がないと考えているということです。

 これは、不特定多数に情報が公開されることの危険性を感じていることが一つ。もう一つはその必要性を感じていないからではないでしょうか。

 また、連絡網や予定は、紙情報で配付されるのでホームページ上で公開する必要性はあまり感じていないこともわかりました。

 このように学校ホームページでは、その学校の授業(子どもたちの作品含む)や行事の様子を中心に、保護者向けに作っていけばよいことがわかってきました。

 そしてそういった情報は、不特定多数に公開する必要はないと私も考えています。もしその必要が出てきた場合のみ、その都度保護者と連絡を取り合いながら公開すればよいわけです。

 一方「学校外」に対しては、簡単な学校紹介程度で十分ではないでしょうか。さらに言えば、学校紹介程度の内容であれば、教育委員会が作った学校パンフレットや、教育委員会のホームページで十分であると考えています。わざわざ時間をかけて学校が作る必要はないのです。

 

 このエッセイは、平成15年度U市教育研究協力委員会議研究報告(平成16年2月)としての下書き原稿です。下書きであっても無断引用・転載を禁止させていただきます。