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もう10年以上も前のことになります。 世のため人のために働く人になってほしい…みたいなことを子どもたちに指導したことをめぐって、保護者の方から「自分が幸せになること第一に教えて欲しい」といったご意見をもらったことがあります。 「世のため人のためよりも、まず自分の幸せを」といった価値観が広がったのは、80年代頃だったのかもしれません。 実は、このことは本来は矛盾しないのですが、それはしだいに「人のために何かをすることは自分が損をすること」「自分が幸せになるためには、他のことはある程度目をつぶる」といった価値観に変わってしまいました。 子どもたちを見ていても、「どうして私がやらなきゃいけないの?」といったセリフは日常茶飯事です。また、自分に関係ないと思われることには、絶対に手を出しませんし意見も言いません。 逆に、手を出したり、意見をいったりすると、「うざい」「おせっかい」と敬遠されてしまう雰囲気さえあります。 大人や子どもたちのこういった状況の中で、思いやりや、やさしさ、福祉や環境問題を教えようというのですから、これはかなり厳しいです。 しかしここにきて、そういった雰囲気が社会的に少しずつ変わりつつあるような気がしています。若者のボランティアの広がりなどにもそういった変化を見ることが出来ます。 これらは、不況によって「お金第一主義」の価値観が少しずつ崩れてきたことと無関係ではないのでしょうが、いずれにしても若者たちがもう一度自分たちの生き方について考え始めたということだととらえたいと思っています。 今の子どもたちが「若者」と言われるようになった時には、「自分第一主義」が逆に批判される時代になるのかもしれません。 2002/9/26 |