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栃木県黒磯市女性教師刺殺事件を考える 1月28日(水)、私は自宅で生活指導サークルの学習会をしている時にこのニュースを知りました。息子(中二)が「中学生が先生殺したよ」と知らせに来てくれたのです。サークルの仲間とあわててテレビをつけました。みんなあまり驚いた様子もなく「ついにやったか…」という思いでした。
わかるんです……、実感として。急にキレる最近の子どもたちのことが
亡くなられた先生は、赤ちゃんが生まれたばかりとのこと…。
怒りと悲しみでいっぱいです……。刺したのは7〜8個所という報道でしたが、このことを見ても、いわゆる「キレて」しまっての反抗です。感情をそのまま行動に表してしまい、そのことがさらに興奮状態を生み、一種の心神喪失状態になってしまうわけです。かつての目的意識があった校内暴力とは根本的に違うと思います。
教師なんかに自分の行動の説明をしなければならないこと自体が、気に入らないのでしょうか?。教師も命がけです。しかも身に覚えの無いことで子どもに殺される時代がついに来てしまったのかという感じです。
かつての校内暴力の時は、やはり命がけだったけど、闘う相手が見えたし、少なくとも身に覚えのある「命がけ」でした。教師が生徒に、しかも学校内で殺される……。ここまで子どもたちを追い込んでしまったものはなんなのかを明らかにしつつ、それを変えていきたいです。
子どもが特にむかつくのは、疲れているときやダルイ時。そんな時何か言われるとムカツクそうです。そして今の子どもたちは、何かというと「疲れた」を連発するように、日常的にムカツク準備ができていることになります。だとしたら、今の子どもたちは何につかれているのでしょうか?また、そんなに簡単に疲れてしまう子どもの「体」はどうなっているのでしょうか?ここらへんにカギがありそうな気がします。
また、やたらと「おとなしい生徒」という報道がされていますが、それは、おとなしいのではなくて、感情表現や言論によって反撃する力が弱い生徒であったのではないでしょうか。ゆえに反撃は「からだ」で起こすしかなかった?…。
としたら、これらの状況は彼だけの問題ではなくて、これからも起こりうることになります。現に教師が暴力を受けて病院に送られる事件は、各地で起きていますから。さて栃木の事件をめぐっての世間でのテーマは、どうやら以下の3点です。
1)バタフライナイフが持ち込まれるなどの、学校の管理体制の問題。
2)バタフライナイフが流行する若者文化の問題。
3)子どもたちの心の問題。
・ナイフを持たなければならないことの弱さ。
・子どものストレスの問題。
・命の軽視の問題。しかしこれらのテーマに私は事件当時からどうも消化不良なのです。私がずっと気になっているのは、今の子どもたちが教師を刺し殺してしまうほどキレてしまうことなんです。これは子どもの心の問題もあるのでしょうが、どうもそれだけじゃないといった疑問がずっとあるのです。
そして考えているのは、
4)子どもたちの「体」の問題。
中二の息子にも聞いたのですが、イライラしたり、キレる時は体がダルイ時にウルサイことを言われた時だというのです。としたら、もしかしたら今の子どもたちは、心の問題と平行して「体」の問題を抱えているのではないだろうかと考えたわけです。犯行直前に保健室に行っていたということも気になっています。つまり、
●疲れやすい体。
●集中力が持続しない体。
●ゆえに仕事や勉強がたまったりしてイライラする体。
●興奮しやすい体。
●自己抑制力がきかない体。これらの体の上に、
○感情&言語表現の弱さ。
○仲間や教師に対する不信感と攻撃性。
○未来に対する不安とあきらめ。
○バタフライナイフが流行するなどの若者文化。これらのことが重なって、すぐにキレる子どもたちが増えてきているのではないでしょうか。背筋力が弱くなって背中グニャの子どもが増えてきていると日体大の正木先生が言い始めたのは、なんと20年前です。ということは、背中グニャの子どもたちが親になってくる時代が来ていることも考えなければなりません。
子どもの体をもう一度見直してみる必要はないでしょうか?
('97.2/2)