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ハイテクコミュニケーション
〜携帯電話やPHS、ポケベルが作り出す新たな子ども社会〜

携帯電話やPHS、ポケベル等の広がりにより、ハイテクコミュニケーションともいうべき新しいコミュニケーションの時代が来ている。

この、いつでもどこでも誰にでも気軽にコミュニケートできる社会の登場は、簡単に人と人とが出会える社会を生み出したと同時に、その一方で「すれちがい」が生み出すドラマや、出会いの感動や喜びといった、いわゆるローテクの人間関係が生み出してきた社会を喪失させつつある。

また、簡単に約束ができる関係は、何度もやり直しがきくがゆえにその約束の重みもなくなってきているといえる。

さらには、いつでもどんな時でも連絡できることは、相手の状況や思い、そして相手のいる場のトーンを無視したかたちでの「話しかけ」といった状況を生み出してきている。そしてその会話は、その内容が後を引かない、互いが気詰まりにならないように案配された「どーでもいいモード」で展開されるのである。

さて、これらの状況の中でもっとも注意しなければならないのは、「情報孤立」とでもいうべき新たな孤立が生み出されつつあるということである。自分に情報がこないことを自分自身の「欠損」のように感じる若者が登場してきていることである。

私たちは、出会いのきっかけをいとも簡単に作ることのできるようになった時代を肯定的にとらえると同時に、一方でハイテクコミュニケーションの時代が生み出す新たな人のつながりについて考えていく必要がある。また、そういった社会において、子どもたちの社会はどのように変化していくのか(あるいは変化しているのか)も、今後考えていきたい。 

[参考]:『高校のひろば』NO.27 中西新太郎論文
    :全生研OLC,にしうち発言

(1996年11月)

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