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 しおちゃんマンの1年生日記(4月編)

年生は、みんなで移動するときは、男子1列、女子1列、計2列に並んで移動するときが多い。そしてその時は、男子と女子がかわいらしく手をつないで歩くのである。

ところが今日(9日)、ひと組だけ手をつながない男女がいる。「どうしたの?」と聞くと、男の子の方が涙目で「手をつないでくれないの…」と言う。女の子の方に「どうして手をつながないの?」と尋ねると、「知らない子だから…」と答えた。どうやら、男の子は保育園出身で、女の子は、幼稚園出身らしい。それにしても、知らない子だから手をつながない…というのは、妙に説得力があって(笑)、おもわず笑ってしまった。

また今日は、自己紹介の勉強。みんなの前で自分の名前と好きなものを大きな声で言ってみる。ところが、子どもたちにとってはこれがなかなかむずかしい。声は出ないし、「好きなもの」という概念がむずかしい。そこで、いくつか例を出してか、このようにやってごらんと教えてからスタートした。ところが一人だけ「言いたくない」と言い張る男の子がいる。どうして?恥ずかしいの?と聞くと、「好きなものないもん!」と言う。食べ物で好きなものがあるでしょ、と聞くと「そんなものない!」と言う。そこで、それじゃシオチャンマンが君の好きなものをあてちゃうぞ!と言って「カレーライス!」と言ってみる。すると「ブー」と言うので、よしよしのってきたぞ!と思い、「メロン!」と言うと、またまた「ブー」。すると他の子どもたちが「ロクヨンが好きだよ」と言ってくれたので、そうなの?と聞くと「ピンポン」と言うので、だったら早く言ってくれ〜!(笑)と思ったが、みんなで拍手をしてその子の自己紹介を終えた。


日(13日)は、身体測定。身長、体重、座高を測定する。体重計は、停留所型のお風呂屋さんにあるような体重計である。ところが、子どもたちの何人かは、反対方向を向いて乗ってしまう。これには大笑い。
14日…、千葉県は激しい雨と風で、桜もすっかり散ってしまった。今日は午後から眼科検診。1年生はまだ給食がないので、お弁当を持ってきた。一方教師は給食があるので、子どもに「いいだろ〜」と見せびらかせながら食べた。帰りぎわに小さな事件。みんなが帰ったあとの誰もいない教室にランドセルが置いてあったこと。B君のものだとわかったので、急いで校庭に向かってハンドマイクでB君を呼んだ。B君はレインコートを着たことで、ランドセルのことをすっかり忘れてしまったらしい。
15日…。午前中は授業。午後は1時半から2時半まで、療育センターに行き、それから3時半からの学級懇談会のために学校にとんぼがえり。休む間もない。懇談会は、今年度のPTAの役員を決定する日である。「どなたかやっていただけませんか?」と言ってみると、あっと言う間に二人の手があがった。「ありがとうございます。あと二人です」と言ってみる。するとそばにすわっている人同士で相談してくれて、これもまたスムーズに残りの二人も決めてくれた。

この日から日刊学級通信を発行し始める。私の原点は、日刊通信にある。日刊通信は、私の場合、書けるときにまとめて書いてしまうというのがペース。来週の月曜日の分まで書いてしまった。

しおかぜ'98/4月20日(月曜日)T小学校1年4組担任:舞来夫発行 NO.9

学校の準備は?

小学校は、毎日の持ち物が違います。子どもたちには、もう少したったら、時間割を見ながら自分で準備をしてほしいと思っています。しかしながら、最初からなんでもできるはずはありません。何も教えないで、「もう小学生なんだから自分でできるでしょ」というのは、子どもにとってみたらあまりにも酷です。教えなければ大人だってできないことがたくさんあるはずです。そこで…、
1)1日のうちで、「いつ」「どこで」準備をするのかを決めましょう。「どこで」というのが、意外に語られてきませんでした。生活リズムを作るためには、時間(「いつ」)だけでなく、場所の問題も大切であるというのが、私の考えです。
2)やって見せる→一緒にやる→やらせてみる→ほめる・注意する→もう一度やらせてみる、またはやって見せる…のくりかえしだと思います。
3)「はやくしなさい!」は禁句。子どもが自分のペースで準備ができる時間を作ってあげることがまず大切です。
4)忘れ物は、今は届けてあげる方がいいと思います。しかしこれから少しずつ、忘れ物をしたら自分がとっても困ることも教えることが大切になってきます。(学習の保障はしますのでご心配なく)

以上、それぞれのご家庭の状況に合わせて工夫してみてください。

毎号の下の方に、■家庭からの声欄■というのを作って、一方通行の通信にならないように工夫している。


曜日は企画委員会(学年主任の会議で、職員会議に提案される原案を検討する)で、みんな疲れた顔をしている。伏し目がちで誰も発言しようとしない。この時期、仕事が多くて(特に保健関係やクラスのルールづくり)みんな疲れているのである。「ふとんに入ったらあっと言う間に朝だね」とだれかがポツンとつぶやく。みんな「そうだね」と頷く。疲れてくると、子どもの心が見えなくなる。子どもが騒いでいると、イライラする。疲れていないときは、元気で明るい子どもたちに見ることができる。こうやって書くことで、自分を客観的に見ることができて、なんとか自分を見失わないですんでいる。
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「帰りたいなあ…」
「どうしたの?学校つまんない?」
「そういうわけじゃなけど…」
「いやなことでもあった?」
「ないけど…」
こんな時って心配になっていろいろ聞いてしまうのが教師のサガ。
「わかった!家でなにかいいことがあるんでしょ」
「うん…プレステやりたい」
「フーン。プレステ好きなのか…」
「もっと好きなことあるけどね」
「なあに?教えてよ」
「テレビ…」
「なんのテレビ?」
「忘れた…」
「学校にいる時にやるの?」
「うん…、先に帰っちゃダメでしょ」
「うん、だめだね」
「……せんせい、だいじょうぶだよ」
「なにが?」
「お母さんにビデオにとっておいてねって言っておいたから」

この日、ある男の子が休み時間に上履きがないと騒ぎだした。何人かで、あちこちを探し回ることになり大騒ぎ。ところが、みつかったところはげた箱のところ。真相は…、
外に遊びに行こうとして、上履きを脱いでげた箱に入れた。その瞬間、誰かに話しかけられて…。ふと気がつくと上履きをはいていない自分に気がついたということでした。

2時間目は、「1年生を迎える会」。この日、教室で待っていると、6年4組の子どもたちが迎えに来てくれて、6年生と手をつないで体育館へ。体育館に入ると、全校の子どもたちが集まっていて、「さんぽ」の合唱と花のアーチで1年生を迎えてくれた。会では3年生の歓迎の言葉や、2年生からの花の種のプレゼント。そして5年生は小学校のいろいろな行事の紹介を楽しい劇で紹介してくれた。1年生は、お礼としてポケモンの歌の「ひゃくごじゅういち」を歌った。歌詞で「ひゃくごじゅういち」の部分を「ひゃくにじゅうはち」にかえて歌った。1年生全部の人数が128人で、みんなで仲良く生活していきたいという思いをこめた。とっても元気よく歌えたと思う。


日(21日)は、目の悪い子の配慮で、席を一部変えてみた。
B君も目が悪い子のうちの一人。そこで前から2番目のC君と交換。ところが、
B君「ほかの場所じゃダメ?」
私  「どうして?」
B君 「イイジャン!」
私  「イヤな人でもそばにいるの?」
するとそのとたんB君が泣き出した。それを見て少しムッとしてしまったので、後ろをむいて深呼吸。
私  「先生にそっと教えてよ」
B君は泣きながら、となりの女の子を指さす。
私  「幼稚園の時にいじめられたの?」
B君は泣きながらうなずく。まったくも〜…、子どもの世界も女の子が強くなったなあ、と思いながら席を変えてあげた。ところが後になって、二人は違う幼稚園だとわかる。この時にどうしていやだったのかは今でも謎です。今はいたって仲良しなのですが……。


22日、E子チャンがお腹が痛いと言い出した。おなかをさわって、顔をしかめている。かなり痛そう。
「トイレに行けばなおる?」
ううん…と首をふるE子ちゃん。精神的なものなのかなあ…と感じた。そろそろどの子も疲れてくるころだし、E子ちゃんのように一生懸命な子は、精神的にもまいってくる時期なのかもしれない。
「よし、しかたがない。しおちゃんマンが超能力でなおすしかないなあ」
キョトンとしているE子ちゃん。
「ここのボタンを押してごらん」
と腕時計を指さす。こわごわと時計を押すE子ちゃん。時計を押した瞬間、ビビーンと音を声でならす。
「よし、準備OK」
と言って、右手でE子ちゃんのおなかをさすって、
「ほおら…痛くなくなるぞ〜」
と言ってみた。すると、
「せんせい、なおった!」
と言ったので、あまりに簡単になおってしまったので、逆にずっこけてしまった。

しおかぜ'98/1998年4月26日(日曜日)T小学校1年4組担任:舞来夫発行 NO.15

朝食をしっかりとってこよう!

明日から3連休。そして5月からは給食が始まります。子どもたちもいよいよ学校生活のタイムテーブルで生活することになっていきます。そこでお願いなのですが、もし朝食が十分にとれていないお子さんがいらっしゃいましたら、これを機会にたくさん食べてくるようにお願いいたします。というよりも、起床−ふとんたたみ−お手伝い−洗顔−着がえ−朝食−トイレ−いってまいります(順不同)の朝の生活リズムをぜひご家庭の事情に合わせて確立してほしいと思います。

朝は食べられない…というお子さんがいらっしゃいましたら、15分程度早起きをさせてみてください。早起きができないというお子さんがいらっしゃいましたら、寝る時間を1時間はやくしてみてください。夜寝られないというお子さんがいらっしゃいましたら、昼間にたっぷり外で遊ばせてみてください。

子どもの生活が大人に合わせて夜型になってしまっています。心も体も夕方から活発になる……ということでは、学力はもちろん、今問題になっている心の問題にもよい影響を与えるとは思えません。時期的にもいい機会だと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。


24日の帰りぎわ、F子ちゃんがうずくまって泣いていた。そばに呼んで、どうしたのか聞いてみると、G子ちゃんがお腹を叩いたとのこと。G子ちゃんはF子ちゃんと大の仲良し。G子を呼んで事実を確かめるとそうだ(叩いた)ということなので「あやまりなさい」と言った。すると、今度はG子ちゃんが泣き出してしまったのであわてて「F子ちゃんがなんかやったの?」と聞いてみた。しかし時はすでに遅し。何も応えてくれない。叩くのには叩くなりの事情があったのだろう。叩くことは絶対にいけないことであるので指導しなくてはいけないが、事情を先に聞くべきであった。

一人で元気なく下校するG子ちゃんを見て、「なかなおりして元気だしてね」とフォローしたのだが……。大失敗である。


25日(土)、26日(日)は、26日が授業参観で、月・火・水を三連休にするために登校日である。A子ちゃんは、出席をとる時も「ピカチュー!」とか言って返事をする。私に対してもなかなか気持ちを開いてくれない。ところが今日、なんのきなしに私の方から「ピカチュー!」と言ってプリントを返すと、「ピカピカチュー!」と返事をしてきたので、「チューチュー?」と応じると、しばらくピカチュー言葉でやりとりが続いた。もちろん意味などない。そしてそのことがきっかけで、何かと私に話しかけてくるようになった。今度は人間の言葉で。
26日の日曜日は小学校初の授業参観である。授業はどのクラスも図工。一人ひとりが色画用紙でこいのぼりを作り、その上にウロコを貼っていく。のりのつけ方や、はさみの使い方の指導である。「5月5日は何の日?」といつものように明るく聞いた。ところが子どもたちは誰も答えない。親の前であることをかなり意識していたのだろう。冷や汗をかきながら、なんとか45分を終えた。


日で4月が終わりだ。振り返ると、とっても長い1ヶ月だったように思う。明日からは給食が始まる。その準備もかねて、最初の班を作った。6〜7人×5班編成。男女混合。男女それぞれが3〜4人組をゲーム的につくり、その後合体した。チームが組めない子にはすぐに援助できるように身構えていたが、ポツンとする子もいなく、スムーズに決まった。最後に私が視力が弱い子などの配慮をして最初の班ができあがり。この班で給食当番や係活動、話し合い活動を進めていくのである。

明日から本格的な学校生活がスタートする。